LESSON 2-6 ホランドの理論概要

理論の概要

ホランドの理論は差異心理学の興味の測定、およびパーソナリティの類型論という2つの心理学の分野をベースとして考えられています。
蓄積された職業興味に関する莫大な研究データや結果から、個人がどのようなことに興味を持つかはそれまで個人が生活の中で経験したことによって規定される部分が非常に大きいということがわかりました。職業の選択と適応においてもそれぞれの人の生活との関係が見出されます。
また、軍隊での入隊面接官時代に莫大な数の若者と会う経験を通して、人は比較的数少ないタイプに分類できることを知りました。大学生や身体障がい者、精神障がい者たちとのカウンセリングでも同様の観察が得られました。つまり、大部分の人の興味や特性、行動は数種の枠で大別できるという確信を得たのです。
類型論を枠組みとした職業選択の理論を体系化する過程でホランドは従来の職業行動に関する数多くの理念や知見を検討し、最終的に理論の中に取り入れたのは以下の6つです。

  1. 職業の選択は、パーソナリティの表現の1つである。
  2. 職業興味検査はパーソナリティ検査である。
  3. 職業的なステレオ・タイプは心理学的・社会学的に確かで重要な意味をもつ。
  4. 同じ職業に就いている人々は似かよったパーソナリティの特性および発達史を共有している。
  5. 同一の職業群に属する人々は似たようなパーソナリティをもつので、さまざまな状況や問題に対して同じような反応したり、それぞれ特徴的な対人関係の作り方をしたりするであろう。
  6. 職業満足、職業上の安定性や業績は、個人のパーソナリティとその人の働く環境との一致の程度に依拠する。

このような考えを元に、人のタイプ、環境のタイプを分類し、それらの状況を踏まえて最適な職業に配置することがよいと考えるのがホランドの理論です。