ジョン・ホランド(John L. Holland)の理論
ジョン・ホランドはVocational Preference Inventory(日本語版:VPI職業興味検査)およびSelf Directed Search(SDS)という大学生向けの進路選択支援ツールの開発とそれらを支える6角形で表現されたパーソナリティ・タイプ理論で世界的に有名です。
職業興味検査のなかで最も権威のあるストロング職業興味検査やアメリカ労働省における職務分析と職業分類の改訂作業に反映されるなど、ホランドの理論は職業分類で新たな境地を開きました。
ジョン・ホランドの人物像
ジョン・ホランドがどのような人物なのか、簡単に見ていきましょう。
- ホランドはネブラスカ大学で心理学、フランス語、数学を専攻。
- 1942年~1946年 第二次世界大戦の間に従軍し多くの心理学者と同様に兵士を適材適所に選抜、配置させる人事的仕事に従事。
- 従軍中、多数の兵士の職業経歴書を分析する仕事をしているとき、職業経歴に多くの規則性に気づく。さらに数個のタイプに分類できることにも気づく。
- 戦後、彼はリサーチを通して、仮説を検証する目的で新しい分類法を試作。
- ミネソタ大学入学後、本格的に分類体系の開発に取り掛かる。
- 1952年 教育心理学で博士号を取得。
- 1952年の前後3年間、ウェスタンリザーブ大学で心理学を教えながら、職業カウンセラーも勤める。
- こうした経験を通し職業興味とパーソナリティとが非常に関連深いことを確信する。
- その後メリーランド州の復員兵病院の職業カウンセラーおよび主任を歴任。
- 1957年以降は研究者。
- 1957年~1963年 National Merit Scholarship社の調査研究部。
- 1963年~1969年 American College Testing Program(ACT)に研究者および管理職。
- 1969年以降 ジョンズ・ホプキンズ大学で教鞭をとる。
- 1980年 退職。
- その後 テストの開発と理論の発展に努める。
ホランドが職業カウンセラーであったのは大学院在籍中とその直後だけで、研究と大学での教育の経歴が続いていますが、ホランド自身はカウンセラーとしての視点を強く持っている人物でした。
ホランドの職業選択理論は、職業の選択と適応についての古典的な理論家の業績と欲求や自己概念などの人間行動一般に関する理論を基盤としながら、VPIの開発とそれを用いた莫大な数の研究結果を分析することによって独自の理論を発展させた理論です。