LESSON 2-14 キャリア・サバイバル

キャリア・アンカーが明確になったら、それが与えられる仕事とマッチングするか否かを決定するために職務・役割側の条件を明らかにする必要があります。これが職務・役割分析職務・役割プランニングです。いくら自分らしいセルフイメージにあうキャリアを追求しても、それが仕事として実現できなければ成立しません。このように現実に実現しにくいことをシャインはキャリア・サバイバルという概念で示しています。
キャリア・アンカーと役割の条件が合わない場合もあります。いわゆる「ミスマッチ」と言われるものです。先に説明したように、1つの職業とキャリア・アンカーを1対1で結びつけるべきではありませんが、明らかに「独立・自由」を最も主要なキャリア・アンカーとするにもかかわらず、定型業務しかない公務員についていたら自己概念を実現するのは困難でしょう。
その場合は、職務・役割を戦略的にプランニングし直したりすることや、今後新たに就く可能性のある職務・役割をプランニングする手助けをするのもカウンセラーの役割です。
 
近年言われる「好きを仕事に」という考え方をする際には特にこのキャリア・サバイバルや職務・役割分析の視点が重要です。
そもそも仕事・職務を行う際には、それが自分の価値観である以前に他の人・社会からのニーズがなければ仕事として成立しません。また、そのニーズを満たす適切なスキルがあるかどうかも仕事には重要です。
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このニーズ、何が要求されているかを理解するためには、「自分の職務、仕事には何が期待されているか」「その利害関係者は誰か」「今後どのような変化が起こっていくか」ということを把握する必要があります。これが職務・役割分析です。
職務が多様化する現在、決まったイメージだけでなくこの職務・役割分析を行うことで、真に必要なことを見極めた上でプランニングを行うことが大切です。
自らの志向性をはっきりと認識することでキャリア選択の安定性が増すという意味で、自身のキャリア・アンカーを考えたり把握することは非常に有用です。ですが、自分のアンカーに捉われるあまり、社会からの要請の視点を落とすことにないように注意していく必要があるでしょう。