様々な情報があふれ、選択肢も多様になる時代、私たちの価値観や興味、社会そのもの大きく変化していきます。その興味や価値観の変化にともない、キャリアに対する行動や選択は変化していくのが普通です。
ナンシィ・シュロスバーグの理論では、この変化の瞬間、キャリアとキャリアの間の変わり目の時期をキャリア・トランジションと呼んでいます。
トランジションの分類
転機(トランジション)はその人がある出来事を転機と考えることによって初めて転機となります。そして、転機は3つのタイプに分けることができます。予期していた転機、予期していなかった転機、その結果として起きる人生や生活の変化の3つのタイプです。予期していた転機のことをイベント、予期していなかった転機のことをノンイベントと言います。
イベントは4年間で大学を卒業する、希望の会社に就職する、昇給する、定年まで勤めるなど、予定・予測していたイベントが実際に起こることを表します。それに対してノンイベントは4年で大学を卒業できない、就職できない、会社が倒産する、親が突然亡くなるなど予想外なことが起こることを表します。これらが起こった結果何らかの変化がもたらされ、影響を受けることによってキャリア・トランジションが発生する場合があります。
このような際は、下のような変化が起こることがあります。
1.人生役割の変化
転機により私達が果たす数々の人生の役割のうち、役割のどれかが無くなる(失う)または大きく変化することを示します。
2.人間関係の変化
転機時には人間関係が強まったり、弱まったりすることを示します。
3.日常生活の変化
転機時には日常生活において何を、いつ、どのように行うかなどが変化することを示します。
4.自己概念の変化
自分に対する考え方、認知の仕方が変化することを示します。
こうした転機によって生じる様々な変化は、プラスに働く場合とマイナスに働く場合とがあります。プラスかマイナスかは、その人自身に起こった変化をどう捉えるかで変化します。つまり、会社が倒産した、という現象でも「自分は不幸になってしまった」と捉えるか「新しく自分でキャリアを築くいいチャンスだ」と捉えるかでプラスかマイナスかは変わります。
キャリア転機時に大切なことは、このキャリア転機によるマイナスの影響をいかに最小限なものにするかと、キャリア転機とそれにともなう様々な変化をいかに客観的、冷静に受け止めて効果的に対処することができるかという点です。