転機への対処
前ページで説明したように、人生のステージにおいては様々な転機があります。その転機をどのように捉えるのかには個人差がありますが、「単にポジティブに考えましょう」と伝えて解決するものではありません。
シュロスバーグはその転機に対する認識の個人差は本人の内的資源によると考えました。そして、転機を上手に対処することができるかを左右する4つの要素を以下にように示しました。
1.転換の過去経験
これまでにもキャリア転機を経験しているか否か、その過去の転機時には上手に対処出来たか否かを示します。
2.キャリア転機に対する対処行動
転機に際し適切な行動がとれるか、意思決定を行いその行動が実際にとれるか、転換にともなうストレスに対処できるかを示します。
3.自律感
転換時に自分の人生を自らコントロールすることができると感じることができるかを示します。
4.人生に対する認知
自分の人生を肯定的に認知しているか、否定的に認知しているかを示します。
カウンセリングを行うにあたっては、上記の4つの要素は理由や原因ではあるかもしれませんが、対策ではありません。ヒアリングを通じて、以下のような支援システムが存在しているかも確認することが大切です。
- キャリア転換を支援する公的機関や民間団体ハローワーク、職業紹介所、人材ビジネスなどの活用。
- 転機時を上手く乗り越えるための経済的資源、物理的条件の存在。
- 転機時を支援し支えてくれる人々、人間関係の存在。
これら3つの支援システムのうち何が充足しているのか、何が欠けているのかをチェックしつつ、トランジションに対する認識を確認しながら適切なキャリア選択の支援をしていくことが大切です。