シュロスバーグはキャリア転機時の対処法について2段階に分けて考えています。第1のステップは資源の点検、第2ステップは具体的戦略です。
第1ステップ
自分の資源である人的資源、物理的資源、公的資源などを調べて再度確認するステップです。点検が必要な資源は状況(Situation)、自己(Self)、支援(Support)、戦略(Strategies)の4つです。これらの頭文字が全てSから始まることから4Sと呼ばれています。
1.状況(Situation)
- 原因 このような状況が起きた原因は何か、何を選択したことによって生じたのかを示します。
- 予期 現在の状況は社会的に予測することが可能であったか、突然起こったことなのかを示します。
- 期間 一時的なことなのか、永続的なことなのかを示します。
- 体験 同じような過渡期を乗り越えた経験をあるのか、その時の気持ちや状況はどうだったのかを示します。
- ストレス 現在の問題以外に抱えているストレスはあるかを示します。
- 認知 その状況をどのように捉え受け止めているのか、自分にとって好機なのか、危機なのかを示します。
2.自己(Self)
- 仕事の重要性 自分にとって仕事はどの程度重要か、仕事のどの部分(地位、職務内容、給与など)に興味があるのかを示します。
- 仕事と他のバランス 仕事、家庭、興味、地域のバランスを生活全般のなかでどのように考えているかを示します。
- 変化への対応 自分はどのように変化に対応しようとしているのかを示します。
- 自信 自分に対する自信はあるか、新しいことに挑戦しようとしているかを示します。
- 人生の意義 人生にどのような意義を持っているのか、何らかの使命を感じているかを示します。
3.支援(Support)
- よい人間関係 自分に好意を持ってくれる人、クライアントが何ができるかを知っている人から支援を受けることができるか、支援してくれるような人は周囲にいるかを示します。
- 励まし 自分の成功を期待してくれる人、前向きな指導をしてくれる人、励ましてくれる人はいるかを示します。
- 情報 仕事を探す方法はあるか、企業情報、雇用情報などを収集できるかを示します。
- 照会 解雇された時の医療や経済的支援制度に関する知識や情報を提供してくれる人はいるか、そのような機関について知っているかを示します。
- キーパーソン 積極的に連絡をとり重要な情報を提供をしてくれる人はいるか、その人からの援助・支援を望めるかを示します。
- 実質的援助 経済的支援など実質的な援助を望めるかを示します。
4.戦略(Strategies)
- 状況を変える対応 職探し、新たにトレーニングを受けるなどの戦略を具体的に実行しているかを示します。
- 認知・意味を変える対応 今回の状況や問題の捉え方をプラス思考に変えているかを示します。
- ストレスを解消する対応 リラクゼーション、軽い運動などを行なっているかを示します。
キャリア転機時に必要なことは、こうした当面の転機についての4Sの点検です。様々な角度から4Sについて点検し、その転機の特性とその人にとってのキャリア転機の意義をしっかり検討する必要があります。
第2ステップ
第二ステップでは、キャリア転機を成功させるための具体的計画に基づき戦略を立て、そのために必要な資源を確認し、事前の準備を行います。
会社都合による突然の予期せぬリストラや配置転換に見舞われた時でも、資源を点検し、戦略を立て、キャリアの危機をむしろ逆手にとり、この機会を自分にとってのチャンスと捉えるようなプラスの発想で臨むことが大切です。