LESSON 4-1 キャリアカウンセリングの進め方

キャリアカウンセリングは、クライアントの相談内容や抱える問題が明確である場合は、比較的短期間で方向性を導き出して終了することが可能です。しかし、クライアントが様々な事情・劇的変化などで精神的ショック受け、自尊心が傷ついている様子がうかがえるような場合もあります。その場合はまず何よりも、クライアントのメンタルケアから入らなければならないのです。
初期のカウンセリング課程で次第に気持ちが落ち着き、精神的に安定し、今後の方向へ目を向けることができるようになるまでは少し時間をかけて心の整理、感情の処理、自己分析をする必要があります。
理論的、合理的なカウンセリングやツールにおける判断の前に、クライアントの置かれた心理状態、相談内容、クライアント特性の把握、抱える問題の種類、内容をまず正しく理解することから入らなければならないのです。
そのためには、まずロジャーズの来談者中心療法で説明した、クライアントの話に傾聴し、無条件の肯定的関心を向けながら、温かく受容し、共感的理解を行い、クライアントと信頼関係を築くことが欠かせません。決してすぐにキャリア問題の解決を急いではいけません。これはどのような理論に則るとしても同様です。行動療法的アプローチをとるからとって、精神的ダメージを無視していいということではありません。
その後、キャリアに関するテーマ、焦点を今後への方向性に少しずつ段階を踏みながら、問題解決支援のカウンセリングステップを具体的に実行して行きます。
したがって、キャリアカウンセラーは、単にアドバイスするアドバイザーではなく、カウンセラーとしての認識を持つことが重要になります。キャリアコンサルタント、カウンセラー等様々な呼び名がありますが、「人のキャリアを支援する」という大きな目的のためには、ここで説明したような精神的な支援の必要性を忘れてはいけないのです。

次にキャリアカウンセリングの一般的なステップを辿りながら、カウンセリングの進め方について7つのステップに分けて考えていきます。7つのステップは以下のようになります。

  1. 信頼関係の構築
  2. キャリア情報の収集
  3. アセスメント
  4. 目標設定
  5. 課題の特定
  6. 行動計画
  7. フォローアップ、カウンセリングの評価、関係の終了

一つずつ、次のレッスンで見ていきましょう。