LESSON 4-2 ステップ1(信頼関係の構築)

前レッスンで説明したように、キャリアカウンセリングを始めるにあたってはカウンセラーとクライアントが相互に信頼関係を築くことが欠かせません。カウンセリングの中でクライアントが自分自身のキャリアについての非常にプライベートな情報をカウンセラーにありのままに自己開示することなしには、効果的カウンセリングは実現できません。
したがって、その自己開示の前提条件となるのがクライアントのカウンセラーに対する深い信頼感なのです。カウンセラーとの信頼関係なくしてクライアントは本音で語ることができません。メンタルなカウンセリングに比べキャリアカウンセリングはこのスタート時の信頼関係の構築を軽視し、助言、指示的になり過ぎ、ビジネスライクに先へ進みがちな傾向があります。
相手が一見賢く論理的で、なんのメンタル的なダメージを負っていないように見えても、油断は禁物です。クライアントは、キャリア上になんらかの悩み、つまり精神的に満たされない何かがあるからこそカウンセリングに来ているということを忘れないようにしましょう。

この信頼関係構築のためには、まずカウンセラーがクライアントに対し温かくゆったりとした姿勢で向き合い、何よりも共感的な良い聴き手になることです。そして来談者中心療法のカウンセラーに求められる3つの態度条件を大切に実行しながら、来談者の話をまず集中して傾聴しましょう。
カウンセリングマインドを表すキーワードに「直そうとするな、わかろうとせよ」という言葉があります。クライアントを直そうとするよりも理解する姿勢、態度を何よりも大切にすることを示しすことが、信頼関係の構築につながるのです。絶えずクライアントの視点に一緒に立ち、問題に対するクライアントの価値観や捉え方を理解しようと努めるようにしてカウンセリングを進めていきましょう。