キャリアカウンセリングにおいて何よりも大切なことは、クライアントが正しく客観的に自己理解できるようにカウンセラーがサポートすることです。人は自分のことは自分が1番分かっているようで、必ずしもそうではありません。
自分は何が好きなのか、自分は何がしたいのか、自分はどうありたいのか、何が強みかなどは、自分自身に関する重要なことであっても漠然として明確でないことが多いでしょう。そのため、正しい自己理解はキャリアカウンセリングの重要な要素になります。自己理解、クライアント理解の方法としては次のような方法があります。
1.アセスメントツールの利用
アセスメントツールを活用することで、客観的かつ科学的方法による測定を行い、性格、適性、スキル、分野別能力などを測ることができます。アセスメントツールの使い方には、診断テストを用いて診断するフォーマル・アセスメントとカウンセリング場面で実施しクライアント理解のヒントを得るインフォーマル・アセスメントの2種類があります。
2.ワークシートの活用
ツールを用いた診断以外に、より直接的かつシンプルにワークシートを利用して自己分析を行う方法があります。ワークシートにしたがって記入しながら自己理解を深めるやり方で、比較的簡単に自分に関する客観的情報を得ることができます。
過去を振り返り、担当職務内容や知識を確認したり、強み弱みを書き出し分析、職業選択における条件を重要な順に優先順位をつけるなどが挙げられます。
3.カウンセリングの対話を通してクライアントの自己理解を深める
カウンセリングの中でカウンセラーがクライアントに対して質問を上手に行い引き出す方法です。何をしたいのか、何が出来るのか、そうしたい理由は何か、具体的目標は何か、どのように達成するつもりなのか、などを尋ねます。クライアントは自らを自己洞察し、自分自身の内面を言語化することによって、自己を明確化し、自分に気づき、自己理解を深めることができます。
アセスメントの4つの目的
アセスメントには、大きく4つの主な目的があります。
1.予測
クライアントの仕事上のスキルや興味、関心、価値観は何か、またそれらをクライアントのキャリア目標に調和させる方法を考える手段とすることを示します。
2.判別
クライアントの持つ能力やスキルと特定の仕事の分野で必要とされる能力など、クライアントの過去のキャリアが今後のキャリア選択の中でどこに当てはまるかを判断することを示します。
3.モニタリング
クライアントはある特定の種類の職業、職務を選択する準備ができているか、それに対する成熟度はどうかなどを調べることを示します。
4.評価
様々なツールを用いて行ったアセスメント結果を解釈したり、クライアントのキャリア目標が設定した通りに達成できたかを評価することを示します。