アセスメントの方法のひとつに、インフォーマル・アセスメントがあります。インフォーマル・アセスメントはフォーマル・アセスメントのようには体系化、規格化されたものではなく、決まった基準や解釈の方法はありません。場合に応じて、カウンセラーがインフォーマル・アセスメントを作ることもできます。インフォーマル・アセスメントには以下のようなものがあります。
1.チェックリスト法
性格、行動特性、強み、スキルや能力、価値観などの特徴をリストにしてクライアントに提示します。クライアントはその中から自分に該当する特徴を選択します。カウンセラーは何故クライアントがそれを選択したか尋ねます。理由を尋ね考えさせることによってクライアントの自己理解を促すことができるという方法です。
ツールによるテストと異なり診断を行うものではなく理由を聞くことが主眼のため、独自のチェックリストで行うことが可能です。
2.カードソート法
カードを使ったアセスメント法です。カードソートによるアセスメントでは、収入、自由、時間、挑戦、創造性など様々な価値が1枚1枚に書かれたカードを提示します。それをクライアントに自分の価値観に合致したカードを選択し、重要度にしたがって優先順位をつけてもらいます。
このような方法により、クライアントが重視する価値観を理解できる方法がカードソート法です。ライフキャリアにおいて大切にしたい価値を理解することができるため、カウンセラーと今後の方向性に関してより具体的に話し合うことが出来ます。
カードソート法のような価値分析はキャリアカウンセリングの中で非常に重要です。キャリア選択の価値基準を明確化することにより、今後のキャリア・アンカーや方向性を明確化することができます。
3. ガイド・イメージ法
リラックスして目を閉じて、理想的な職場の一日を想像してもらうなど、イメージの力によってアセスメントを行う方法です。現実の世界から逃れ、長い間忘れていた興味や価値観を思い出すことで本来の自然で内発的な価値観を知るきっかけになります。
他の方法では現実の様々な経験により、自己概念が歪められた結果選択されたことに気付かない場合があります。例えば、もともとやりがいのある仕事を大切にしていて本心ではやりがいを重視したいのに、その仕事をリストラされた直後であるため、「やりがいのある仕事を大切にしている」という価値観を抑圧する(他の方法でそういう項目にチェックをつけないなどで本心に嘘をつく)ことで自分を守る、といった行動をする場合があります。
イメージをすることで、本来の理想の価値観を知る手がかりになるのがこの方法です。
4. 強制選択
キャリアカウンセリングをグループで行う場合などに使われます。カウンセラーが全員に質問をし、リーダーシップを執るのが好きか、人の指示に従うほうが好きか、給料を優先して選ぶ、やりがいがある方を選ぶか、など参加者の回答別にグループ分けをし、何故その答えを選択したのかという理由などをグループ別に話し合わせる方法です。
このように自身の選択について話し合うことで自己理解を深めることができるほか、選択に基づいたグループに属させることで自分自身がその選択をしたという認識が強まるため、より自身の価値観が明確になりキャリア選択の後押しになる場合があります。
このようにインフォーマル・アセスメントは、カウンセラーが自分で考えながらクライアントに合わせて臨機応変に行い、クライアントにキャリア選択や転職を考える機会を与えることが出来ます。主観的であったり、解釈に時間がかかるなどのデメリットはありますが、場合に応じて利用すると有効なアセスメント法です。