近年はITの急激な発達と共に、コンピュータによるアセスメントやキャリア情報の収集などが盛んに行われるようになりました。コンピュータを利用したキャリアガイダンスをCACG(Computer Assisted Career Guidance)と言います。基本的な要素は評価、探索、情報提供の3つです。
このコンピュータシステムはクライアントに個人情報を入力させ、個人の特性、特徴を明確にします。その特性にあった職業を提示し、キャリア情報をクライアントに提供できるため、総合的なキャリアガイダンスを行うことができるのが特徴です。
よく使われているシステムにはアメリカのDISCOVERがあります。他にも同じくアメリカのSIGIPLUSやイギリスのPROSPECT、カナダのCHOICESなどがあります。
DISCOVERは9つのステップで構成されています。全体を通してクライアントの進路選択をサポートするものです。
DISCOVERの9つのステップ
1.キャリア探しの旅のはじまり
システム利用の仕方に関する説明、システム全体の概要と個々の利用者のニーズに応じた進め方などの説明により導入を行います。
2.仕事の世界について学ぶ
ホランドの理論により作られたワールド・オブ・マップを用いて12の職業群についての知識を学習します。
3.自分自身について学ぶ
クライアント自身の興味、能力、価値観、経験に関する自己評価を行い自己を理解します。
4.職業を見つける
自己評価結果に基づいて適職リストを検索します。
5.職業について学ぶ
適職リストにあげられた職業に関する詳細な職業情報を学びます。
6.教育コースの選択を行う
その職業に必要とされる教育、学歴情報、その教育内容について学びます。
7.次のステップを計画する
自分に相応しい教育コースについての情報に基づいて教育や訓練のための詳しいリストを作成しステップを計画します。
8.キャリアプランを立てる
人生役割を統合し、将来のライフキャリアプランを作成します。
9.キャリア転換に備える
将来のキャリアプランに沿って今後発生することも予想される課題に対してその対処方法を学習します。
DISCOVERシステムによるこうしたプロセスはキャリアカウンセリングの過程を実際にシミュレーションしたものです。コンピュータの技術がますます発展するに従い、今後CACGのシステムはますます高度に進化していくでしょう。
CACGを活用にするにあたりカウンセラーは、コンピュータと人との役割分担をよく考えていく必要があります。カウンセラーは、コンピュータにはできない価値をクライアントに提供していく必要がますます高まっていくのです。
データの情報収集や管理はコンピュータが得意な分野ですからコンピュータに任せ、カウンセラーはコンピュータから得た多くの情報を基に、クライアントのキャリア選択や意思決定のサポートに徹することが大切です。まだまだ人はコンピュータに対して「心を開く」「信頼を置く」というような状況には至っていません。特にメンタル的に傷ついている場合など、カウンセラーはクライアントの話を傾聴して心の問題やキャリアに関する問題を整理することがクライアントの役に立つことになります。
やみくもにコンピュータによるアセスメントツールに頼りその結果を伝えるだけではなく、人として役に立てるカウンセラーを目指して上手にコンピュータを活用していきましょう。