LESSON 4-8 ステップ4(目標の設定)

人は明確な目標を設定することで、目標を意識して具体的な行動をできるようになります。キャリアプランニングのプロセスにおいては、目標の設定、課題の特定、行動計画がその一連の流れとなります。まず目標を設定することから始まり、他の選択肢の特定、情報の収集、選択肢の検討などを通して、最終的に意思決定を行いキャリアの選択が行われるのです。
キャリアカウンセリングにおける目標設定は、以下のようなステップで設定されます。

  1. どのような問題を解決したいのか、達成目標を明確化する、目標の達成基準を明確化する。
  2. その問題解決のためにはどのような選択肢があるかを情報収集し整理、検討する。
  3. 目標を達成するための具体的行動計画、戦略を立てる。

目標を表す場合には明確な表現で、何をいつまでに、どれくらいと時間とスケジュール、さらにはその達成基準も設けなければなりません。その目標を達成したかどうかを誰が見ても判断できるような目標でなければ、目標と呼べないということです。
例えば、「大学に合格するために、定期的に一生懸命勉強をする」という目標は、すごく頑張る気持ちのこもった目標に見えますが、「定期的」「一生懸命」といった表現は抽象的ですし、どこの大学に合格するかも不明確です。このような目標では目標の達成度合い、行動の過程があいまいになってしまいます。目標は、「◯◯大学に合格するため、1日3時間毎日勉強をする」といったように、具体的にする必要があります。
目標設定を行う場合は、クライアントの性格、興味や関心、価値観、経験、能力、強み、障害となるもの、サポートシステムなど様々な情報を参考にしながら、クライアントの真のニーズを明確化します。そして、クライアントの能力に見合う現実的な目標をクライアントとよく話し合いながら設定します。
まずスタートとして半年から1年という比較的短期間で達成可能な短期目標の設定から行い、中期目標、長期目標を設定していくことが重要です。また目標は達成度が測定できるように、達成基準を試験の点数のような数値化するなど明確な基準を設けることも忘れてはいけません。
達成にいたるステップを最初から高いステップ、ハードルを掲げてはいけません。勉強時間が今までゼロだった人に、急に1週間で30時間勉強する、というような大きなまとまりかつ高い目標では挫折してしまいます。1日30分勉強する、というように細分化し、小さなステップを達成する体験を積み重ねながら、最終目標に近づけていくことが必要です。このように目標を明確化し具体的に分かりやすく表現しておくことで、次の段階における目標達成のための行動計画が作りやすくなります。

目標設定時には目標が以下のような5つの条件を満たす必要があります。

1.現実的目標であること

どんなに素晴らしいキャリア目標であっても、あまりにも現実離れした目標では達成の可能性は少なくなります。大きな目標を中途半端に達成するより、小さな目標を完全に達成することを重視しましょう。時間がかかっても実際に達成可能かどうかを見極めることが必要です。環境的に許されるか、経済的にはどうか、能力的にはどうか、時間的余裕はあるかなど現実的な問題が解決されなければなりません。

2.理解できる目標であること

カウンセラーがクライアントの目標について聴いても、理解できないものであれば、もう少し具体的で理解可能な目標を設定するように指導しましょう。抽象的な目標も避ける必要があります。

3.目標は予測可能であること

目標は現実的、理解可能であると同時に今後の達成に向けたプロセスが予測可能であり、その進捗状況、途中の達成状況を客観的に理解、評価できるものであることが必要です。

4.行動計画が立てられる目標であること

目標設定の後、達成に向けた具体的行動が実際に取れることも大切です。何をしたらいいか、を考えることができる目標にしましょう。

5.合意が得られる目標であること

目標に対し、相手先、周囲の合意が得られる目標であることも重要な条件です。特に転職などキャリア転換時には家族など自分を支えてくれる人達の合意を得ることが欠かせません。
ただし、目標の設定時から合意を得られる目標ばかりとは限らないのも実際です。大切なポイントはいざ目標に近づいた段階で周囲の反対に遭うことで目標の達成が妨げられる可能性を排除するということです。最初の時点では合意が得られずとも、目標に向けた行動をしている過程で合意を得られる可能性があるかどうかは意識する必要があるでしょう。