LESSON 5-3 グループ・キャリアカウンセリング

キャリアカウンセリングといっても、カウンセラーとクライアントが1対1で行う面接だけではありません。複数のクライアントが一緒に集まり、グループを構成し、グループガイダンスやワークショップ、カウンセリングなどを行う場合もあり、カウンセリングの段階やクライアントのニーズによってはグループの方が1対1よりも効果を発揮する場合もあります。問題や課題によってはどちらが効果的かを見定めることがカウンセラーには求められます。

グループカウンセリングの特徴

グループカウンセリングには以下のような特徴があります。

  • グループのサイズはそれぞれであり、グループの目的や参加者の特徴によって決められる。
  • グループのサイズによりカウンセラーは1人または2人必要である。互いに役割分担を行い、補い合いグループプロセスを診断したり、適切に介入する。
  • クライアントの思考や行動に働きかけ、望ましい変化をもたらす。
  • 特定も目標を目指す。絶えずグループの到達目標を確認、明確化する。
  • ライフキャリアに関するグループガイダンスは、情報の伝達とスキルの教育や訓練などを目指すが、グループカウンセリングは、予防的、成長促進的、治療的である。より深い洞察、人間としての可能性の開発を指向する。

グループカウンセリングのメリット

グループカウンセリングには以下のようなメリットがあります。

1.情報共有ができる

活発な情報交換により、カウンセラーからのみならず、グループメンバーからも様々な情報を収集でき、共有することができます。相互に様々なアイディアを交換し合い、刺激しあうことも可能で、直接的ガイダンスにも繋がります。

2.仲間がいるという安心感が得られる

メンバーは現在自分の抱える問題や課題を話し合うことによって、自分だけが問題を抱えて悩み孤立しているわけではなく、誰もが同じような問題を抱えているという感覚を持ちます。その結果、安心感や安定感が得られ前向きに考えることができるように変化する機会を得られるのが特徴です。また、メンバー同士に仲間意識が生まれ、共感し合い、支え合い、励まし合うような効果も期待できます。

3.他人の役に立てる喜びを感じる

メンバー同士で相互に支え合い、助言し合い、共感し合う過程において、メンバーそれぞれが、自分は他人の役に立てるんだ、という感覚を持てるでしょう。そういった経験によって、自分を改めて肯定的に捉え直し、肯定的自己概念の形成を促す効果が期待できます。

4.希望が持てるようになる

身近な人が前向きに頑張ったり目標へ進む姿は励みになります。メンバーがグループの中で問題を解決し、成長していく様子を互いに観察し合うことによって、自らの成長への希望を持ちやすくなります。

5.ソーシャルスキルを学習する

ソーシャルスキルとは対人関係における挨拶やお願い、交渉、主張などの対人関係スキルのことです。グループメンバーと話し合い、自己開示し、感情表現をし、問題や課題について一緒に考え、解決する過程において、コミュニケーションスキル、ヒューマンスキル、問題解決スキルなどを自然と身につけることができます。

このように、様々なテクニックやカウンセリングの形態を用いながら、辛抱強くクライアントの話に傾聴し、受容し、反応や指摘を行っていくことがカウンセリングを成功へとポイントです。
相手の話に反射的に反応するのではなく、それぞれのリアクションの目的を意識的に考えながら活用していくことが大切になります。