LESSON 2-2 ドナルド・スーパーの理論

ドナルド・スーパー(Donald E. Super)の理論的アプローチ

ドナルド・スーパーの理論は、最も包括的かつ伝統的な理論であると考えられています。キャリア発達に関するライフ・スパン/ライフ・スペース理論的アプローチを提唱しました。
詳しい理論はこれから見ていくとして、ドナルド・スーパーの人物像を見ていきましょう。
 

ドナルド・スーパーの人物像

  • 1910年にスーパーはホノルルで生まれる。
  • 6歳でニューヨーク市に転居し小学校教育を受ける。
  • 12歳のとき父親とともにポーランドに渡り、スイスで中等教育を受ける。
  • 家族がヨーロッパにいたためオックスフォード大学に進学する。
  • 主として哲学、政治学、経済学、歴史を学ぶ主専攻ではなかったが心理学も学ぶ。
  • 卒業と同時にアメリカへ戻りクーブランドYMCAで職業紹介担当した。
  • それと同時にフェン大学(現在のクリーブランド州立大学)で非常勤を勤める。
  • YMCAで相談活動を通して雇用、労働市場、人間管理法などを実務として学ぶ。
  • このころから失業問題に関心を持つようになった経済学を背景としながらも個人の失業の問題に立ち向かう個人の能力に焦点を置き業務に取り組むようになった。
  • 25歳のとき、クリーブランド・ガイダンス・サービスの専従所長に就任。
  • それから職業心理学の研究を生涯のテーマとしてこの分野の博士号を取ることを決心。
  • コロンビア大学大学院の学生になる。
  • ソーンダイク(E. L. Thorndike)の奨めで1938年~1942年の間クラーク大学に就職。
  • 1940年にコロンビア大学から学位を授与される。
  • 卒業時に臨床心理学、産業心理学、教育心理学およびガイダンスについて高次元での統合を図る構想をもった。
  • 1942年~1945年の空軍勤務時代に空軍乗務員選抜のための大規模研究プロジェクトに3年間従事。
  • 空軍病院では心理臨床室長として臨床現場を1年間経験。
  • 除隊後コロンビア大学教育学部教授に就任し1945年~1975年の間務めた。
  • コロンビア大学引退後、イギリスのキャリア教育・カウンセリング研究所主席調査員兼名誉所長として招かれフランスのルネ・デカルト大学客員教授など活動の拠点をヨーロッパに広げた。

 
キャリア発達の理論家として有名なスーパーですが、スーパーの関心はカウンセリングの実践にありました。そのため、自身の理論を単なる「理論」ではなく「理論的アプローチ」と呼ぶことで、机上の空論にとどまらない実践の科学であることを望んだのです。スーパーはカウンセリング心理学の発展においても理論的実践的両面から貢献しました。

  • 1952年 アメリカ心理学会第17部会会長。
  • 1954年 アメリカ・カウンセリング学会(APGA 現在のACA)会長。
  • 1969年 全米職業指導協会(NVGA 現在のNCDA)会長。
  • 1975~1983年 国際進路指導協会(IAEVG)会長。

そして、イギリスでの活動引退後~1994年の亡くなるまで国際的な調査プロジェクトWork Importance Studyを主宰しながら弟子達と共にキャリアカウンセリングに役立つツール開発とそれを用いたカウンセリングの実践を行いました。