LESSON 2-12 キャリア・サイクル

シャインは仕事・キャリアのサイクルにおいて、組織と個人のキャリアの関連性を踏まえ、9つの発達段階とそれに応じた課題を整理しています。

1.成長・空想・探求(0~21歳)

幼少期から青年期初期を示します。この頃にとって、職業は具体的な経験からくる情報を持たないため、イメージ・空想のようなものです。どのような職業を選択したとしても、その後必要となる教育訓練に備える段階になります。

2.仕事の世界へのエントリー(16~25歳) と 3.基本訓練(16~25歳)

この2つの時期は仕事の世界への参加と基本的訓練の時期を示します。この時期には仕事の目標が明確化されたり、変化したりするために何らかの選択をすることが必要になります。自己の欲求と組織の欲求について調和させることを学ばなければなりません。職業によっては、この時期に早めの意思決定を行い教育と訓練をうけることが必要になります。

4.初期キャリア(17~30歳)

現実の仕事がどのようなものか、仕事に対してどのように取り組むかについて学ぶ時期を示します。仕事の義務を果たす上で自分の才能、動機、価値観などが本格的に試されることになります。その中で自己認識を獲得し、より明確な職業の上での自己概念を開発します。

5.中期キャリア(25~45歳)

所属している組織はその人に期待をかけ、それに応えるように求められます。組織内で明確なアイデンティティを確立する時期です。その仕事と組織のメンバーとしての意味あるセルフ・イメージがはっきりと形成されます。高度な責任を持つようになり、長期のキャリア計画も立てる時期です。キャリア計画は仕事、家庭、自己の三つの領域が統合されるように調整する必要があります。

6.中期キャリアの危機(35~45歳)

これまでの歩みを再評価し、現状維持かキャリアを変えるか、新しいより高度な仕事に進むか決定します。現状の再認識、目標の再評価、再確認を行います。また、家庭とキャリアの間のそれぞれの欲求に葛藤が発生し、その問題解決を行うために様々な努力が必要となります。そしてキャリア・アンカーの意味を考えていく時期です。

7.後期キャリア(40歳~定年)

管理者、指導者の役割をはたします。現状維持、仕事以外での自己成長を求める場合には自己のポジション、影響力の減少を認め受け入れることになります。

8.衰えと離脱(40歳~定年)

速度を落とし、徐々に引退を考えるようになり、引退に向けて準備を行うようになります。地域活動、家庭、趣味など新たな満足を得られるものを探すことになります。配偶者との関係の再構築の時期です。

9.引退

職業活動から引退し、自己のアイデンティティと自尊感情の維持、自分のこれまでの経験と知恵活かします。他者への支援とその役割発見の時期です。

これらの発達段階や課題は、様々な組織や個人の才能と意欲の程度などの要因によって左右されるとしています。特定の年齢や他の人生段階に結びつけようとするよりは全ての人が様々な形で直面する共通の問題と課題の分類と見るべきものです。
特に変化の激しい時代においては、このような年齢での分類が適合することは少ないかもしれません。
あくまでこういったプロセスに沿って考えるとわかりやすい場合がある、というように考えることがよいでしょう。